ヘッドギアが負傷リスクを高める?ルール変更の背景とは
観戦者から見るボクシングのプロとアマの大きな違いといえばヘッドギアではないでしょうか?
アマチュアボクシングでは長い間、ヘッドギアの着用がルールとされていました。
そのルールが変更になりましたが、背景には何があったのでしょうか?
■アマチュアではヘッドギア着用が義務だった
拳で殴り合うボクシングでは、常に頭部の外傷や脳震とうの懸念があります。
そのため、アマチュアボクシングでは、頭部を保護するためのヘッドギアの着用がルール化されていました。
オリンピックでも選手はみな、ヘッドギアを着用して試合に臨んでいました。
ところが2013年、国際ボクシング協会(IBA)は19歳以上のボクサーに限るものの、安全性を理由にヘッドギアの装着を廃止します。
■ヘッドギアが廃止された理由
安全性に配慮するためにヘッドギアの着用を廃止する、というのは一見すると矛盾しているように感じられるでしょう。
一体どういうことなのかその背景をみていきます。
・保護されている安心感からケガをするおそれ
ヘッドギアは頭部保護の効果はあるものの、完全ではありません。
しかし、ヘッドギアの着用が選手を安心させてしまい、頭をぶつけるなどの行為に及ぶ危険があります。
着用しない方が緊張感が生まれ、ケガをしにくくなるのではとの意見もありました。
・ヘッドギアにより頭がターゲットになりやすい
ヘッドギアの着用により頭部が大きくなり、相手から狙われやすいという懸念もあります。
ヘッドギアは衝撃を吸収する役割がありますが、打撃が強ければ効果は限定的です。
また、視界が狭まるために、打撃を回避するのが遅れることもあるでしょう。
狙われやすくなるにもかかわらず、避けにくいとなるとメリットは非常に少なくなります。
・ヘッドギアによって脳震とうを起こしやすくなる
頭部への打撃には一定の効果があるヘッドギアですが、構造上あご部分への打撃にはほとんど効果はありません。
しかし、あごへの衝撃で激しく頭が揺らされることで脳震とうは起こります。
そのため打撃への反応が遅れるとその分、脳震とうの発生リスクは高まります。
ヘッドギアによって視界を妨げられるのは逆効果だとの意見は多く聞かれていました。
■子どもや女性はヘッドギア着用が認められている
アマチュアボクシングでヘッドギアの着用が廃止になったのは、19歳以上の男性のみです。
子どもや女性ボクサーについてはこれまで通り、着用がルールに定められています。
理由としては、脳震とうを起こすほどの強い打撃が生じにくいこと、頭部への負傷を防ぐには最適なことが挙げられています。
リオ五輪からもヘッドギアの着用がなくなり、ボクシングの試合では選手の表情がよく見えると評判でした。
負傷リスクの高いスポーツでいかに安全性を高めるか、多角的な検討が必要です。
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